食事や飲み物を出す店で日中に歌を楽しむ「昼カラオケ」。高齢者のファンが多いが、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が各地で発生しているとして、国は「まん延防止等重点措置」の対象区域で、埼玉県は県内全域で、こうした店で歌うことを自粛するよう呼びかけている。県内のカラオケ喫茶の経営者らは複雑な思いを抱いている。(丸山ひかり)
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14日の昼下がり、さいたま市内のカラオケ喫茶を訪ねた。客は、仕事の休憩中にほぼ毎日来るという70代の常連男性が一人だけ。クリームソーダを飲み終えソファでくつろいでいた。
「もう3時。歌おう」
男性は店の中央に置かれたモニターの前に立ち、店が常備する除菌シートでマイクをふいた。口を近づける先端をそのシートで覆うと、マスクをしたまま演歌を朗々と歌い始めた。
モニター前には飛沫(ひまつ)防止の大きなビニールシート。歌い終え、マイクからシートを外してゴミ箱に捨てると「ご飯を食べて2、3曲歌う。これがあるから仕事ができる」と笑った。
店主の70代女性は「常連は70、80代がほとんど。コロナ前より9割減った」。コロナ前は深夜まで営業していたが、今は夕方まで。グループ客は激減し、店としても一度に数人しか受け入れていない。入店時の検温・消毒や客の記録などもしている。
ただ、女性は以前、コロナに感…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル